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いじめ防止対策推進法・施行後3年の課題

2018/04/05

3分の1以上の自治体が「防止基本方針」を策定せず、積極的な予算と人員の投入を

著者:小島秀一 2016年12月06日

 

大津市でのいじめ自殺事件を契機に、2013年9月、いじめ防止対策推進法が施行された。
同法には、施行後3年を目途に、施行状況等を勘案したうえで見直しを検討する旨の附則があり、
2016年11月2日には、文部科学省・防止対策協議会において「いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論のとりまとめ」が公表された。

 

この3年間において、法律は有効に機能したといえるか、今後の取り組みはいかにあるべきか等について、以下、考察していきたい。

 

■ いじめ防止対策推進法の概要

 

まず、いじめ防止対策推進法及び国の基本方針の概要をご紹介したい。

 

非常に大まかな説明となるが、法・基本方針は、いじめの定義等の基本的考え方を示したうえで、国・自治体・学校の取り組むべき施策を規定している。そして、自治体には、独自の「いじめ防止基本方針」の策定等を求め、学校にも、「いじめ防止基本方針」の策定、「いじめ対策組織」の設置、「いじめに対する措置」等を求めている。

 

本法の特色としては、
・いじめの定義について、児童生徒が心身の苦痛を感じているか否かを基準とした広い定義で捉え、
・また、いじめは「どの子供にも、どの学校でも、起こりうるもの」との認識を前提として、学校・教員評価について、
いじめの有無や多寡のみではなく、未然防止措置やいじめ発生後の対応等の取り組みを評価するとの方法を採りつつ、
・学校・教員の隠蔽防止と情報共有を促進させ、
・これまで教員個人に任されてきた対応を、組織で行うように求めたこと、
などが挙げられる。

 

いじめが起きにくい土壌を作るとともに、いじめ発生後には深刻化を防ぐための迅速で組織的な対応を求めている点など、評価すべき内容が多く盛り込まれている。

 

2012年、私は、いじめ問題やその隣接分野の専門家が集まった「ストップいじめ!ナビ」という団体(2014年にNPO法人化)の立ち上げに参加した。法・基本方針には、団体の提言も盛り込まれ、私たちはその施行に大きな期待を寄せた。

 

■ やる気のない自治体

 

いじめが起きにくい土壌を作るとともに、
いじめ発生後には深刻化を防ぐための迅速で組織的な対応を求めている点など、
評価すべき内容が多く盛り込まれている。

 

上記①の3分の1以上の自治体が、
法律施行後3年が経過した現在においても、「いじめ防止基本方針」を策定していない点は、特に深刻な問題である。

 

現状、学校に最も強い影響力を有するのは設置者である自治体であり、自治体の指導に基づき学校はいじめ防止対策を進めている。
自治体が法の趣旨を踏まえる気がなければ、その影響下にある学校も変わりえない。

 

この点、基本方針を策定すること自体は、予算や人的制約とは無関係の問題であり、
策定していない3分の1の自治体は、やる気がないとしか考えられない。

 

さらに、基本方針を策定している自治体の間でも、その内容には大きな格差が存在している。
下図は、過去に「ストップいじめ!ナビ」弁護士チームで、
2015年8月18日までに基本方針を公開していた概ね人口50万人以上の大都市を対象に、独自のチェックリストに従い採点した結果である。

 

結果の詳細は「ストップいじめ!ナビ」のHPもご参照いただきたいが、大都市ですら半数近くの自治体において、法の趣旨を十分に踏まえたとは言えない内容となっていた。
ご興味を持ってくださった方は、是非、お住まいの自治体の「いじめ防止基本方針」をネットで検索してご覧になっていただきたい。

その際、一見した限りでは、その内容が十分なものか判断が難しいと思われるので、上記HP内の「チェックリスト」を参考にしていただくか、鹿児島市・仙台市・川崎市等の評価の高い基本方針と比較していただければと思う。
ざっと見比べるだけでも、内容の濃淡は明らかだろう。

 

自治体が変わること、これが学校が変わるための大前提となる。
そのためには、国からの指導や支援も必要であるが、何より住民の意見が重要な要素となってくる。
もし、お住まいの自治体が「いじめ防止基本方針」を策定していなければ、強く批判の声を上げていただければと思う